安住しない、こと。2009/01/30 03:01:28

*ストコフスキー・スペキュタクラー(2枚目)

1.R.コルサコフ:「ロシアの復活祭」序曲(CSO)
2. 同:交響組曲「シェヘラザード」(RPO)
3. ラフマニノフ:ヴォカリーズ (アメリカso. モッフォ<S>)

1枚目のバッハ・ヘンデルに比べるとおとなしく感じてしまうけど、まあ原曲の管弦楽法の味付け自体が全然違うんだから当たり前。(苦笑

ストコフスキーの「シェヘラザード」は、あのやりたい放題のLSOとの録音はずっと前から愛聴していて、自分的にはこの曲の3大名盤の一つ(あとはロストロポーヴィッチとレニー!)。
RPO盤は「LSO盤よりは穏やか」みたいな評があちこちでされていて、気にはなっていたけどやっと聴くことができた。

確かにLSO盤よりは楽器付加とか少なくて、コッテリ感は減ってる(それでも普通の演奏より遥かにあるけど……。2楽章で出てくるシロホンはやっぱりツボ。笑)。
その意味では「意外に」この曲の(「面白さ」や「楽しさ」よりも)美しさを素直に描いているとも言える。
特に3楽章でそれが顕著。

ただ、そういった「変化」が、普通ならそうである「晩年ゆえの抑制」だとはボクには思えない。
LSOとの録音から約10年しかたっていないから、という時間の問題だけでなく、「前と同じことはしたくない!」という強い意志の現れだからこそ、じゃないか?

単に演奏そのものの好き嫌いでいえば、断然LSO盤の方だけど、このRPO盤も、一見(以前より)大人しく見える表情に「芸術の敵は安住」とも言わんばかりのストコフスキーの思いがにじみ出ているようで捨てがたい。

例えば、1・2楽章と3・4楽章を続けて演奏する新解釈。
特に前者は効果的で、何だかむしろこうする方が自然なのでは、という気にさえさせられる力を持っている。

……ていうか、やっぱり「シェヘラザード」ってよくできた曲だなぁと関心しきり。
確か全部で10種も持っていなかったはずだけど、色々引っ張りだして聴きたくなってきた。
そんな気にさせる力が、ストコフスキーにはやっぱりあるんだと思う。

「ロシアの復活祭」ももちろんカラフルで申し分ないけれど、むしろフィルアップ的な「ヴォカリーズ」が聴きもの。
ドゥベンスキー編曲の管弦楽伴奏つきソプラノ独唱版。
アンナ・モッフォの抑えた歌唱にそっと寄り添うようにオケをつけるストコフスキー。
この繊細さもまた彼の一つの一面。

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