コルボのレクイエム(フォーレ)。2009/02/19 22:48:36

* フォーレ:レクイエム(コルボ/ベルン響ほか)

クリュイタンス盤(EMI)と双璧を成す名盤。
恥ずかしながら(最近こればかり?苦笑)そのクリュイタンス盤しか持っていなかったこの曲。
もう一つの名盤を、この年になってようやく体験。

クリュイタンス盤の、悲しみを静かに耐えているようなほの暗さも、もちろんこの曲のひとつの解釈として妥当だし、何より独唱陣の2人、フィッシャー=ディースカウとアンヘレスが素晴らしいのは言うまでもない。
でも、このコルボ盤はそういった演奏家がどう、ということを感じさせない(というか超越した)真っ白な美しさがひたすらに胸に/耳に/心に浸みていく。
ある意味、それは「悲しさ」の表現ではなく、むしろ残された「生きていく」側の背中を押す力になるような音楽。

それってやはり、ボーイソプラノと児童合唱団の存在が大きい。
悲しみを昇華させる、どこまでも澄み切った冬空のような透明な音。
大切な人との別れは、もちろん悲しいことだけれど。
その人との思い出であったり、何かしらの記憶があることで、その人は決して滅びない。
むしろ、その人が朗らかに過ごすであろう美しい浄土=楽園(In paradisum)の景色にこちらも心静かな力を貰える……そんな音。

何だかいつになく印象批評、というか情緒的だな。(照

少しは音楽寄り(?)の話を。
寡聞にして知らなかったのだけど、この曲って編成の小さい(第2校に当たる)「1893年版」てのがあって、しかも録音も結構あるとか。
現にコルボ自身、この曲を4回も録音してて(それ自体もすごいよな)、近年の2回はその版による録音とのこと。
ちょっと聴いてみたい気がする。