通勤ミュージック~0903162009/03/16 17:37:21

*ラフマニノフ&ハチャトゥリアン:ピアノ協奏曲(カペル、バーンスタイン/NYP<ラフマニノフ> オーマンディ/Pho<ハチャトゥリアン>)

M & Aのライヴ盤。
当初はレニー目当てにゲットした音盤で、実はカペルを聴くのは初めてだけど、文句なしに素晴らしい。
音の悪さを超えて伝わってくるその存在感!

まずはラフマニノフ。
自作自演を想起させるハイスピード。
ひたすら胸のすくような、堅牢なタッチ。

音数が多く、下手をすると響きが濁ることも多いこの曲が、まるで書き写せるくらいに明晰に鳴り渡る。
かといってメカニックなのではなく、燃え上がるようなテンションを持ちつつも決して崩れないのが凄い。

ゆえにむせび立つようなロマンは当然ながら控えめ。
例えば2楽章はウェットな情感には乏しいかもしれないけれど、さらりと駆け抜ける中に、微かな孤独感を感じさせるのが絶妙。

3楽章では、あの第2主題の前に(多くの演奏で行われる)パウゼを一切置かずに突入する。
そしてそれに続く主題を、つぶやくように歌うその寂しさ!

しかし、同じ主題を再現部ではたゆたうように奏で、一転、コーダでは晴れやかに朗々と歌い上げる。
当時28歳(!)という若さなのに、その使い分けの巧みさに感心させられる。

更に華を添えるのがレニーの棒。
一気呵成な盛り上げでカペルをサポート。
音が悪いのが惜しまれるけど、そんなことすら忘れる。
1楽章再現部直前や終結での、タッグの絶妙なハマり具合にはひたすら興奮してしまう。
3楽章の勢い込んだ加速や気持ちをぶつけまくった終結部も最高!
CBSのスタジオ盤2種より、はるかに熱い!

「ロマン滴る(不健康な)ラフマニノフ」ではないけれど、このほとばしる情熱には、大満足。
「レニーびいき」(苦笑)を差し置いても、久々にこの曲で名演に巡り会えたことが、とにかく嬉しい。

そしてハチャトゥリアン。
「ハチャトゥリアン=カペル」と言われるようになったゆえんの曲だけに、まさにお手の物。
カペルのパワーとテクニックが、ラフマニノフ以上にツボにはまっている。
荒ぶるリズムや和音、ピアノが打楽器のように響く。
しかし決して汚くなることなく、豪壮無比にザクザクと進む。
鍵盤というフィールドを、縦横無尽に駆けまくる。

オーマンディのサポートもさすが。
むやみに熱くなることこそないものの、オケ、ピアノともに見せ場を一々心得た棒裁きが心憎い。
やっぱ職人やわー。

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