通勤ミュージック~0903212009/03/21 01:47:34

*ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(リヒター/BRSO)

非常に独特な「ロマンティック」。
だけども異形ではない。
何とも不思議な演奏。

基本テンポは遅めなんだけど、所々でグッとアクセルを踏む箇所がある(特に両端楽章)。
だけど、それがフルトヴェングラーのように、濃厚な音のドラマを感じさせるものではない。
もちろんブルックナーの解釈としては、極めて独特の論理を感じさせる部類だとは思うけど、それが「くどさ」にはなっていない。

うまく言えないけど、この解釈が「リヒターの」自己主張なのではなく、リヒターの信じる「ブルックナーの」分析なのだからではないだろうか。
やっぱりブルックナーって、過剰な「オレオレ」が出ると絶対にくどくなる(ある意味マーラー以上に)。
理想的な演奏解釈は「自己投影」と「ブルックナーの音像の構築」がイコールなモノなんだろうけど(ボクにとってはそれが常にヨッフム)、まずは後者を優先すべき作曲家なんだと思う。

その意味では、この演奏はリヒターが「面白がって」や、「才気を弄んで」行ったモノでは決してなく、あくまで自分の信じる「ロマンティック」の姿を堅実に写し取ろうと努力した結果として出てきたのだろう。

その結果かどうか分からないけど、この曲の(通常演奏される)終楽章が、7番や8番の作曲後に行われた、言うなれば「後期」の形態を持っていることをすごく感じさせる演奏になっている。
多くの演奏では、事実としてはそう(=「後期の形態」)なのに、それを感じさせるものは余りない。
でもこのリヒターの音盤は、4楽章だけはっきりと音像や空気感が前3楽章と違って聞こえてくる。
それってすごい事だと思うんだけど。

解説書でも指摘されているように(金子建志氏の演奏分析は、さすがに素晴らしい)、フルオケを引っ張り切れていないところもあるけれど(やっぱり終結のフニャ感は若干悲しい)、そこを差し引いてもブルックナーや「ロマンティック」について色々と考えさせられる、という点ですごく「身になる」音盤だった。