通勤ミュージック~0904092009/04/09 23:29:57

*ブルックナー:交響曲第8番(シューリヒト/VPO)

1963年のライヴ、Altus盤。
基本スタンスはほぼEMI盤と一緒だけど、スケルツォの熱を帯びた進め方などは、さすがにライヴならではの感興。

1楽章の最後の下降音型(いわゆる「死の時計」)が、終楽章の一番最後で長調になって帰ってくる、その壮大な帰結感。
その「死の時計」がクッキリしているのは、スタジオ盤以上……というかいくつかある自分の所有盤の中で一番かも? すごく意味深い。
つまり、最後の最後へとつながる流れを、もう1楽章の時点から予感させる、深く長い視野。

3楽章は、スタジオ録音でも速めのテンポでこの楽章の美しさを生(き)のままで表出しているけれど、ライヴ故に、更に一層みずみずしい形で音化されている。

終楽章も、スタジオ盤が一筆書きのように進んでいくのに比して、やはり臨場感というか緊張感が増していて心地よい。
スタジオ盤でも優れていた、1楽章の再現するところなんか、もっと胸が掻きむしられるかのごとく、劇性をもって奏でられ、深い感動がある。

惜しむらくはモノラル録音であることだけど、これはやむなしか。

これを聴いたあと、久しぶりにスタジオ盤聴いたけど、両方とも持っていたいなと感じさせた。
お互いがお互いを補完するという感じかな。

その余勢(?)からか、クナ/MPOのスタジオ盤も何年かぶりに引っ張り出して聞いた。

この音盤がブル8の「マイ初演」だった。
正直に告白すると、ずっと「何かすごい曲ってのは分かるけど、何かチンプンカンプン!」という第一印象だった。

その後にシューリヒトのスタジオ盤、そして大好きなヨッフム盤を聴いて、少しずつこの曲の味が分かってきたのだけど。

今改めて聴くと分かった。
そりゃこれがマイ初演なら辛いって。(汗

いくつかブル8聴いた今だからこそ、クナの面白さというか(良い意味で)傍若無人……ゴーイング・マイ・ウェイな解釈がスッと入ってきた。

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