やっぱりチャイコンが好き。2009/04/28 01:30:40

*チャイコフスキー&グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲(ヴェンゲーロフ、アバド/BPO)

珍しく、狩猟した音盤をすぐ聴いた。
ていうか、帰りの電車で聴いたんだけどね。
やっぱこういう風にしないと消化は進みませんよ。(自戒。

先日も書いたようにチャイコン(当然ボクの場合はピアノではなくヴァイオリンコンチェルト。笑)に対しての愛情は、結構甘々なところがある、と自覚している。
分析的や批評的に聴く姿勢が皆無、というわけではないのだけど、「やっぱ好きやわぁ~」の気持ちが前面に出てしまうのが正直なところ。(苦笑

つまりは、なかなか注文を付けたり「もっとこうだったら……」みたいな聴き方が出来ない。
まあ、そんなこと言いつつ「名盤」とされるハイフェッツの演奏には昔から異を唱えてるのだけど。
まあ、この件に関してはいずれ書くことになるだろう。(苦笑
あ、ちなみに「嫌い」てわけじゃないよ。
一点だけ、どうしても我慢できない箇所がある、て話。(何という壮大なネタふり。

それはさておき。
ヴェンゲーロフの演奏は、恥ずかしながら初聴き。
肩の故障で指揮者に転向するというニュースは知っていたのだけど。

ユダヤ系ロシア人とは言え、やっぱり若さゆえ?(録音時はまだ20代)そんなに濃厚な語り口ではない。
全体に透き通った音色で、この曲で言われる「ロシア臭」サイドに立った解釈ではない。
とは言えクールなのではなく、むしろグイグイと情熱的に音楽を運ぶ。

そうやって若々しく、ある意味「一本調子」で進めておきながら、聴かせどころ(=歌いどころ)でつつっとテンポを落として振り返るのには感心させられた。
それも強引なこぶしなのではなく(それはそれで好きだけど)、ごくごく自然な落差がうまい。
特に曲想が様々に交錯する1楽章で顕著。

あと、アバドのバックが熱いのも嬉しい。
特に1楽章コーダ!手に汗握るやり取り。
スタジオ録音なのに、まるでライヴのよう。

……ていうか、アバドこの曲のバック何回も務めてるなぁ。
正規盤だけでこれを入れて3種類だろうか?
確かあとはミルシテイン・VPO、みどり・BPO? もちろん両者とも所有。(笑
特に前者は「マイ初演」であることを差し引いても、ボクの中でこの曲の一つの「基準」となる音盤としてかけがえないもの。
確か彼って、シューマンのピアノ協奏曲のバックも多いんだよな。(苦笑

グラズノフも民族色やアクの強さより、すっきりと「愉しく」歌いこむことを押し出している。
系譜としてはハイフェッツに通じる、とも言えばいいのかな。
ていうか、この曲ってそんなに多く異演盤持ってるワケじゃないけど、「チャーミングな曲だな」ていつも感じる。
その感想を裏切らない演奏。

両曲とも十分満足のいくものだったので、もし機会があれば他の協奏曲も聴いてみたいな、と思う。
しかし、これほどの才能を持っている人が故障とは……。
惜しい話だ。