通勤ミュージック~0905162009/05/16 23:10:42

*ベートーヴェン:交響曲第2番・第4番(ケンペ/ミュンヘンpo)

第2弾は偶数曲集。
ステレオタイプな(笑)分類なら、端正・女性的とされる2曲。
当然ながらケンペは両曲とも、そう言った側面よりも、もっと質実剛健な感じを前面に出して解釈する。

2番のこの上もない健やかさ。
立ち上がる音が全て、見通しよく響き渡る。
淀んだところのない、澄んだ木管のハーモニー。

例えば2楽章のCl.のトリル。
ほんのりと暖かいサウンド。
テンポも穏やかで、まるで小春日和のよう。

ところが3楽章で一転。
キビキビとした速めのテンポ。
心地よい緊張感に、単に春風駘蕩だけで終わらせないぞ、という強い意志を感じる。
とは言え、決して聴き手を苦しくさせないのがさすが。

終楽章はじっくりと腰を据えて進む。
初期の曲としては重い(or古い)という声もあるかもしれないけど、ひとつひとつの音譜を慈しむような手触りが良い。

4番も同路線。
ゆっくりと歩を進める1楽章の序奏。
不安感や生成感よりもむしろ、音の動きを噛みしめながら確認するような感じ。

そして始まる主部。
辺りを払うかのような風格に、「大人(たいじん)」という言葉が頭をよぎる。
しかし決して威圧的でなく、どこか優しさを兼ね備えている。

2番と同じく、またまた意志的な3楽章。
他の楽章との差があるだけに、よけいに爽快。

終楽章は当然、クライバー・ムラヴィンスキー路線とは対極。
ドキドキするようなスリリングさとは無縁だけど、木管の掛け合いがしっかりと手に取るように紡がれていく。