通勤ミュージック~1003122010/03/12 17:05:54

コンヴィチュニー全集、いよいよラスト。
忙しかったせいもあるけど、長かったね。(苦笑

7番。これは掛け値なしにすごい。
全集中で第9と1・2を争う名演。

この曲も4番や5番のように、“呪縛”の名演が多々あるわけだけど、そういったものからいっさい自由。

それでいて、これまでの演奏よりもやや「主情」的なものが多めににじみ出ているのがユニーク。
それがこの曲の力感と完璧にマッチしている。

重みより喜びを感じさせる冒頭の一撃。
音を張った、しかし決して割れない金管。
速めの1楽章は、まさにムジツィーレンに溢れた快演。

2楽章もすっきりと流すタイプで、葬送にはならない。
かといって「不滅のアレグレット」的な大仰さにもならない。
あくまでも純粋器楽としての響き。
しかし、そこにある“うまみ”というか味わい。
同じ透明でも、水と酒が似て非なるように。

3楽章がたまらない。
愉楽にあふれながら、羽目は外さないいつもの彼らしさ。
それが一転、最後のコーダで見せる、“闇”さえ感じさせるたゆたい!
これまでに全く無かった色気に、おもわずドキリとする。
そして目覚めたごとく、最後の5小節の煽り!!
ここは何回聴いてもすごい。

そして終楽章!
速めのテンポでグイグイと進めながら、ぎっしりと詰まった中身にも事欠かない、奇跡の両立。
ティンパニはもう少し強奏してもいいかな、とも思うけど、ホルンの充実がそれを帳消しにする。
ホルンも決して楽々と超絶プレイ、というわけではない。
でもそれゆえのひたむきさが、一丸となって終結へ向かっていくこの楽章の姿勢にフィットしていて、聴いていると自然に耳と心が熱くなっていく。

8番はこれまでのコンヴィチュニーらしさがそのまま表れてる。
焦らず急がず、大海に揺られる心地よさ。

軽妙さや洒脱さからは遠いだろうけど、じんわりじっくり、この曲の楽しさが伝わってくる。
恒例の1楽章リピートも「やっぱこれだよなぁ」という安心をくれる。

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さて全曲を聴いての感想。
とにかく全9曲の出来に過不足がない!
しかも繰り返し聴きたくなるような新鮮な発見にも事欠かないのがすごい。

スコアリーディングにおいては、当時では珍しかったリピートなど、真摯な姿勢が評価大(もちろんエロイカのTp.追加とかはあるけど)。

序曲も有名どころは一通り入ってるし、「レオノーレ」が1~3番のすべてあるのも個人的には嬉しい。(笑
あと、これは些細なことかもしれないが、交響曲が番号順にきちんと収まっているのも良い。

21世紀の現代でも、ファーストチョイスの全集として選ぶ価値は十二分にあると思う。
おそらくこれからも、何度も手を伸ばすことになるだろう。

シューマンの全集も楽しみだな。

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