通勤ミュージック~0903242009/03/25 01:39:16

(下書きで書いたまま、その後の忙しさに取り紛れて日記が眠っていました。失敬)

*ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲 バルトーク:管弦楽のための協奏曲 ドヴォルザーク:スラブ舞曲op.72より第2番 第7番(クーベリック/BRSO)

以前、「狩猟日記」で

>オケコンはAltus盤。
>この曲恥ずかしながらレニーしか持ってないこともあり。(汗
>クーベリックのライヴなら間違いなし、と思って。
>いずれ書こうと思ってるけど、バルトークって「食わず嫌い」作曲家の代表格なのよ……。

と書いた盤。
もう、想像以上に「間違いなし」だった!
やっぱAltus、そしてクーベリックのライヴは最強!

でもまずは曲順に従って。(なぜ焦らす。苦笑
「マイスタージンガー」、かなり速めのスピード。
重厚に踏ん張って演奏する事が多いこの曲が、実は「喜劇」なんだという当たり前の事実に気付かされる。
朗らかな「軽み」(「軽さ」とは違う)をたたえながら、熱を帯びたまま進んでいく。
あふれる生命力への賛歌。
最後に冒頭主題が帰ってくるとき、この速さにもかかわらず、堂々とした風格が漂うのに圧倒される。

テンション上がったまま、「オケコン」へ。
ボクがどこかバルトークに苦手さを感じている、あの「ギクシャク」した感じ(それこそが「語法」なのだけど)を和やかにすることはせず、むしろ前面に押し出してくる(1楽章に顕著)。
しかし、例えば1楽章のカノンに見られるように、その「ギクシャク」の中に、押さえようもない熱気が充溢していて、否が応でも興奮してしまう(それってバルトークに必要なのかな?という問いはさておき)。

普段は苦手意識から、退屈に感じてしまう(て言ってもレニー盤しか持ってないくせに。苦笑)、2・3楽章も心からの歌を感じさせ(特に後者)、なぜこの美しさに注意を払ってこなかったのかと自分を恥じる。

4楽章の「中断された間奏曲」も、その“中断”っぷりにようやくこの盤で瞠目した。
「レニングラード」、そして「メリー・ウィドウ」がはっきりと背景に見える。

そしてもうただ唖然とするのは終楽章。
意外に控えめに鳴らされる冒頭のHr.に「あれ?」と思う間もなく、最後の音と重なるTp.が威圧的に響くことで高まる緊張感!
その後の弦による刻み(これまた「ジグザグ」)の、肌に粟立つような切迫感!
元々この楽章は比較的好きと言うことを差し置いても、熱気の奔流にもうクラクラ。
最後まで一気に駆け上り、圧倒的な力でねじ伏せられるた感じ。

……バルトークさん、ごめんなさい。
……も少しこの曲揃えます。(完敗。

スラヴ舞曲2曲がまた逸品。
いつも思うのだけど、このAltus盤ってアンコールまで気を抜けない……というか、アンコールこそ短い時間の中に全てが凝縮されている気がする。

同じコンビによるDGの全曲集も、スタジオ録音ながら名盤だけど、この2曲に関して言えば別次元。
2番(いわゆる「10番」)は、細かいテンポのアゴーギグが、完全に音楽的呼吸と一致している。

ごく僅かな加速と減速。
揺らぐような弦の歌。
同じ旋律が繰り返されるときの楽器の出し入れの完璧なバランス。

これに匹敵するのは、水墨画のように枯れた味わいを持ちつつ、それでいて艶やかな(矛盾?いや違う!)セルとクリーヴランドのEMI盤くらいか。

そして最後を締めくくる7番の完全無双さ。
煽りに煽っても鋼のように乱れないアンサンブル。
それでいて非人間的な機械的さではなく、どこまでもどこまでも血潮が脈打つ。

いやー。
やっぱクーベリックのライヴには外れなしやわ。

出勤ミュージック~0812042008/12/04 17:21:02

*スメタナ:歌劇『売られた花嫁』序曲、ドヴォルザーク:交響曲第8番、ヤナーチェク:シンフォニエッタ(テンシュテット/LPO)

相変わらず出張中。
ただいま松山にいます。

さすがライヴのテンシュテット。
どの曲も凄まじいテンションと生命力。

スメタナは冒頭から発火したような音楽。
「一気呵成」という言葉がぴったり。
この曲にあるべき「愉しさ」には欠けるかもしれないけれど、それは他の演奏でいくらでも補うことができる。

ドヴォ8。
全曲を通じ、マーラー張りに濃厚に歌われるメロディー。
重心低く響きわたる金管(特にホルン)。
ただ、惜しむらくは緊張感が持続しない。
終楽章なんて、「もっとできるんちゃうのん!」という箇所がいくつもあって、少し歯がゆい。
テンションの高さを貫徹した、という点では先述のクーベリック盤に軍配が上がる。

お待ちかね(笑)のシンフォニエッタ。
ぶちかますかと思いきや、意外に密やか&丁寧に始まるファンファーレ。
ある意味あっけないくらい。

ところが、その解釈が最終楽章で生きる。
その丁寧さが熱せられ、次第次第にと押し上げられていく。
最後のTimp.のロールや、弦の旋回音型には戦慄すら感じる。
いやー高カロリーですわ。

ただ、それより特筆したいのは3楽章。
ここの縦横無尽なテンポ激変はすごい。
必死で食らいつくトロンボーンソロも立派だが、この楽章に「怒り」の様相さえ帯びさせたテンシュテットの解釈には敬意を表したい。

ただ燃え燃えしてるだけじゃない。
現代に生きる意味、不安みたいなものさえ透けて見える気がする。
深読みなのかもしれないけど、少なくともボクはこの楽章を聴いて、冷たい汗が流れた。

ドヴォルザーク:交響曲第8番(クーベリック/BRSO)2008/11/18 14:24:30

先日実家に行った。
実家には、少しだけどCDが置いてある。
その基準って、あまり聴かないと判断した盤(要は好みではないモノ)なのだが。

「何置いてるか、いずれメモっとかなあかんな」なんて思いつつ眺めてると、クーベリックのドヴォ8、METEOR盤を発見。
演奏の印象、全く覚えてなくて、持ち帰って何年かぶりに聴いた。

……。
……。
……。

何 こ の 異 常 な テ ン シ ョ ン 。

40分くらい金縛り。
ライヴのクーベリックが熱いのは承知だし、音盤もいくつか持ってる(Auditeのマーラーとか)けど、これは別だわ。
両端楽章は言わずもがなだけど、特筆すべきは3楽章!
コッテリとか濃厚とかいうレベルじゃない。
歌を超えてる(そこまでの表情が必要かどうかはさておき)。

ORFEOから正規リリースされてるみたいだけど、きっとこの露骨な(苦笑)エアチェック感全開のMETEORの方が印象は強いんだろうな。
クーベリックのドヴォ8といえば、BPOとのスタジオ録音も名演で、オケの機動力と指揮者の迸るパッションが奇跡的な融合を遂げてる。
あれも相当興奮させられるけど、このライヴは異常だわ。
……まあその意味で、何回も聴く気にはならないけど。(苦笑

併録のチェロコン(フルニエ)も平均以上だけど、このドヴォ8の後に聴くと、かすむわー。(苦笑
それにこの曲は、いまだにデュプレの呪縛から逃れられないでいるし。

しかし、実家に置いていた理由が分からん。
学生時分のボクが、こういう演奏好みじゃなかったわけがないのだが。
逆はあるけども(一見地味な演奏の「上手さ」=「旨さ」に、ようやく最近気付くようになった)。
ま、返さずにうちに置いておこう。(笑