通勤ミュージック~0812012008/12/01 17:33:42

*シューマン:交響曲全集、序曲・スケルツォとフィナーレ、序曲「ジュリアス・シーザー」(ショルティ/VPO)

ただいま出張で広島に来ております。
というわけで正確には「出張ミュージック」。(笑。

快速・クリア・爽快……「過ぎる」くらいの演奏。
先日も書いた、シューマンに必須の「ファンタジー」は存在しない、というか求めようとされていない。
シューマンの音が骨組みまで露わにされている。
ある意味残酷なくらい。

決して好きなタイプの演奏ではないけれど、みなぎるガチンコの緊張感(ほとんどケンカ腰)は凄い。
VPO相手でも(だからこそ?)一歩も引かないショルティの意気込みは「よーやるわ」の一言(録音年代を考えればなおさら)。

意外に2番が良い。
変な「意味」を持たせないことが強みになって、袋小路から逃れるのに成功している。
もちろん3楽章には何の影も見えないし、4楽章の勝どきもあまりに単純だけれど(低弦の凄まじいゴリゴリ弾きっぷり!)、一つの解釈としてはありかな、と。

「春」「ライン」もどこまでも朗らか。
鳴りまくる金管、ピッチピチのリズム。
比して木管はスカスカに聴こえるけど、これはシューマンの音をそのまま表出しちゃうからで、仕方なし。

しかし、さすがに4番はキツイ。
暴力的までな音圧にちょい引き。
他の曲ではまだ妥協できた彼の解釈も、さすがにこの曲(まさにファンタジーのかたまり)では「勘弁してくれ」と言いたくなる。

フィルアップの序曲はまあまあ。
ジュリアス・シーザーの峻厳さがちょっと「らしくなくて」ニヤリ。

出勤ミュージック~0812042008/12/04 17:21:02

*スメタナ:歌劇『売られた花嫁』序曲、ドヴォルザーク:交響曲第8番、ヤナーチェク:シンフォニエッタ(テンシュテット/LPO)

相変わらず出張中。
ただいま松山にいます。

さすがライヴのテンシュテット。
どの曲も凄まじいテンションと生命力。

スメタナは冒頭から発火したような音楽。
「一気呵成」という言葉がぴったり。
この曲にあるべき「愉しさ」には欠けるかもしれないけれど、それは他の演奏でいくらでも補うことができる。

ドヴォ8。
全曲を通じ、マーラー張りに濃厚に歌われるメロディー。
重心低く響きわたる金管(特にホルン)。
ただ、惜しむらくは緊張感が持続しない。
終楽章なんて、「もっとできるんちゃうのん!」という箇所がいくつもあって、少し歯がゆい。
テンションの高さを貫徹した、という点では先述のクーベリック盤に軍配が上がる。

お待ちかね(笑)のシンフォニエッタ。
ぶちかますかと思いきや、意外に密やか&丁寧に始まるファンファーレ。
ある意味あっけないくらい。

ところが、その解釈が最終楽章で生きる。
その丁寧さが熱せられ、次第次第にと押し上げられていく。
最後のTimp.のロールや、弦の旋回音型には戦慄すら感じる。
いやー高カロリーですわ。

ただ、それより特筆したいのは3楽章。
ここの縦横無尽なテンポ激変はすごい。
必死で食らいつくトロンボーンソロも立派だが、この楽章に「怒り」の様相さえ帯びさせたテンシュテットの解釈には敬意を表したい。

ただ燃え燃えしてるだけじゃない。
現代に生きる意味、不安みたいなものさえ透けて見える気がする。
深読みなのかもしれないけど、少なくともボクはこの楽章を聴いて、冷たい汗が流れた。

風邪っぴき。(9日追記)2008/12/08 14:14:21

広島出張の翌日、岡山へ。
この2日間でどうも風邪を引いたらしく、3日に一度大阪に帰ってきた日も大学3年生対象の「プレ説明会」なる催しに社命で出席、ひたすら喋り続けたせいで喉が悪化。

4日には松山へ出張、そして5日は夜勤と身体を痛めつけたあげく、体調ボロボロに。

この土日ひたすら寝たせいで何とか平熱に戻りましたが、ひどい声と鼻づまりは相変わらず。

というわけで日記少し間空いてしまっております。
申し訳ありませぬ。

実は出張中にテンシュテットのチェコものアルバムについて下書きしたんだけど、まだ上げるところまで行かず。
近々上げます……(上げたらここに書きます)。

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9日追記。
書きました。
1個下のエントリーをどうぞ。

通勤ミュージック~0812112008/12/11 17:21:37

*ブラームス:交響曲全集(カラヤン/BPO)

1983年8月27日(第2番、第4番)28日(第3番、第1番)、ザルツブルク音楽祭のライヴ(Memories盤)。
コンサートメインのツアーならいざ知らず、音楽祭のタイトなスケジュールの中でこのツィクルスを、それを一定以上の水準でやってしまうこのコンビにまず驚き。

カラヤンはどちらかと言えば好きな指揮者ではないが(皆さん知ってるって?)、中学・高校の頃みたいに「毛嫌い」ていうことはなくなった。
そもそも、棚見れば絶対相当数彼のディスクあるんだし……。(苦笑

年を経て、演奏そのものに対して客体視できるようになったのもあるし、楽曲によってはすごいベストマッチング(=R.シュトラウスが典型)を示すのを認めないとやっぱり損。
特に、野心溢れる50~60年代の録音は結構好きなもの多い(スッペ序曲集なんて、メチャクチャ格好いい!!)。

さらに「本気出したカラヤン」の凄さ、てのがある。
その筆頭が「新ウィーン楽派管弦楽曲集」で、もうこれは文句の付けようがないというか、「完璧」という言葉はこの盤のためにあるのか、と悔しいけど(苦笑)認めざるを得ない。

あと、それとは違う意味で近年聴くことが出来るようになったライヴの数々。
ガチになったら、カラヤンもダンディズムを脱ぎ捨てるんやん、てのが分かって(考えれば当たり前のことなんだけど)、そのギャップ故に引きつけられるようになった、てのもある。

前置きが長くなった。
その意味でこのMemories盤には期待していたのだが……。
結果からいうと「それほどでもなかった」というのが正直なところ。
残念ながら、カラヤンの同種正規音盤は晩年のデジタル盤(録音はこのライヴの数年後)しか持っていないけど、そっちの方が総合点では上かな。

とは言え、所々に魅力的なところはある。
例えば、全4曲ともフォーカスを終楽章に置いている作りで、どれも3楽章からアタッカで突入するのが特徴的。
1番ならよくやるけど、4番はちょっと珍しいと思う。
それ故に、ここはハッと胸を突かれるような衝撃があって新鮮。

2番の終楽章も、「超アクセル全開!」とかではないけれど、肩で風切る、いかにもカラヤン的快速さ(アウトバーン的?苦笑)が作り物でなく心からの愉悦としてキビキビ伝わって来るのはホントに素敵。
ホルンの強奏も立体的で◎。

3番は他の3曲に比べて音が少し悪い気がするけど(冒頭も音割れしている)、何かに追われているかのような切迫感のある1楽章なんて、カラヤンぽくなくて逆に面白い。
対照的に、味の濃さこそないけれど一抹の寂しささえ香り立つ3楽章の音作りは「いかにもカラヤンだなー」と率直にその美を堪能できる(体臭ムンムンと歌いこむレニーとの落差!)。

惜しむらくは1番。
もちろんこのコンビだから、平均点はクリアしてるけれど……。
もっと絢爛豪華にやるか、あるいはひたすら合奏力と馬力で攻めるか。
正直「流してやってねぇか?」なんて思ってしまう。
これは断然、87年スタジオ盤がいいなあ。

続・風邪っぴき。2008/12/16 23:05:53

まだ続く風邪っぴき。
先週月~木と昼勤務をこなすも、週末に悪化。
お腹や頭に来てボロボロに。
とうとう土曜には勤務に穴明けてしまった。(涙

床に伏してる間は、しんどくて音楽聴く気も起こらなかった。
でも頭の中にはなぜかシューマンの「クライスレリアーナ」がずっと流れていた。
なぜだろう。

昨日の月曜から出社してるけど、うちの会社は換気悪いし埃っぽいしで咳がひどい。
今日耳鼻咽喉科に行って、吸入したり抗生物質もらったりして少しマシにはなったけど。
明日の休みでもうちょっと快方へ持って行かねば。

たぶん次に書くのは、クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団の「幻想交響曲」(東京ライブ=Altus盤)。