ムーティ/フィラデルフィアのチャイコフスキー。2009/01/26 03:28:02

*チャイコフスキー:交響曲第4番 第5番 第6番 幻想序曲「ロミオとジュリエット」 幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」 序曲「1812年」(ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団)

5番と「フランチェスカ」以外は初聴。
5番が丁寧だけどサラサラ流れすぎて煮え切らないのが不満だったけど、それは4番と悲愴でも同様。

実は結構随所にアゴーギク見せるところもあるんだけど、それがなぜかくどくないというか……あまり共感を感じずにやってるのか?と邪推してしまうくらい響いてこない。残念。

ただ、悲愴の1楽章展開部の激走や、それを受けた再現部第2主題の快速なんかは「泣き」ではないものの面白い。
5番も久々に聴くと、2楽章の丁寧なつくりや1楽章の考え込むような遅さも悪くはないんだけど、平均点の域。

むしろこのディスクはフィルインの3曲の方が、颯爽とした熱気を振りまくムーティらしさ(&フィラ管のゴージャスさ)が出てていいと思う。

例えばロメジュリの主部の猛スピード。
フランチェスカの「非ドラマ性」。
たぎるような愛欲のドロドロはないけど、チャイコフスキーの「音楽だけで」勝負する感じは一つの主張として立派。

一番の出来は1812年。
「純音楽」としてこの曲をとらえる解釈サイドに立ってる演奏で、合唱なしであることがそれをより際立たせる。
かと言って渋いだけではもちろんなく、オケドライブの妙技(特に金管族のパワー)はここぞとばかりにと見せつける。

このテンションと勢いを、どうして交響曲の方でも発揮してくれないのかな……。