通勤ミュージック~0904152009/04/15 02:35:35

*ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」、B.チャイコフスキー:テーマと変奏曲(フェドセーエフ/モスクワ放送響)

このブログだったかな? mixiだったかな? 「展覧会の絵」(ラヴェル版)には、どうも個人的にしっくりくる演奏になかなか巡り会えてない、みたいなことを書いたのは。

まあそうは言っても、チャイ5みたいに「理想の一枚」を求めて山のように聴き漁っているわけではないので、自分の努力が足りない面もあるにはあるのだろうけれども。(苦笑

あくまでボクの中では、だけど、この曲には煌びやかな管弦楽効果よりも、もっと深い「うた」と言うか、“声のないレクイエム”のような演奏を期待しているところがある。
もちろん、ハルトマンの遺作展だけで作られたワケでもない、ていう昨今の説は知ってるのだけど。
その意味では、原曲のピアノ版の空気感を感じさせる演奏を探しているとも言える。

ただ、矛盾するようだけど、ラヴェルのアレンジはやっぱりすごいと思う。
冒頭のTp.にしろ、「古城」のSax.にしろ、ラヴェルが我々に刻印した「色」は、なかなか拭い難いものがどうしてもある。

それらを踏まえた上でこの音盤。
なかなか良かった。
100%、ではないけれど、かなり自分が「こうあってほしい(or こうしたい)」演奏スタイルに、今まで聴いた音盤では一番近かった。

まずは最初のプロムナード。
抑えた響きからもう期待大。
朗々、流々と吹かれるのはダメなので。

ほとんど間を置かずに始まる「こびと」。
暴力的でないがゆえに、所々で見せるドキッとするような打楽器の打ち込みがかえって怖い。
そして最後のまくり!

「古城」の墨色感。
この曲に関しては、もっとフランス風のアンニュイを前面に押し出したスタイルもありだと思うけど、個人的にはこの音盤のように思索や内省を感じさせる方が好きかな。

入念なテンポ操作の光る「チュルリー」。
特に中間部の遅めのユーモアには、「その手があるのか……」と感心しきり。
自然と加速して元に戻るのもうまい。

「ヴィドロ」も、プロムナード同様、抑制された音色が哀しみを誘う。
でもこの曲に関して言えば、もう少し「怒り」の表情付けもあってもいいかな?

「カタコンベ」の静謐な空気。
その中にピンと張った緊張感。

「バーバ・ヤガ」は、こけおどしでない腰の据わった響きに満足。
もっとTimp.が派手でもいいかもしれないけど、そういった効果を志向してないんだろうな。

そして「キエフ」の流れるような「うた」!
ここでバリバリブリブリ鳴らしまくるだけの演奏のいかに多いことか。
まさにその対極。
でももちろん小粒なのでは全くなく、骨太にずっしりと歌い込む。

最後のパウゼの後、ぐっと落としたテンポで振り返る。
長調なのに胸を締め付けられるような存在感。
まるでコラールのような佇まい。

ちょっと驚きなのは最後のド派手な鐘の連打。
うーん……これは要らなかったかなぁ?(苦笑
ちょっと雰囲気壊している気がする。

フィルアップのB.チャイコフスキーの曲は初聴き。
あまりロシア-ソ連の響きを感じさせない、不思議な曲。

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