「バーンスタイン その家族と音楽」2010/03/05 00:08:04

時々古本屋やオクで買っているレニー関連の本がずいぶん“積ん読”になってきた。
というわけで、CDの轍を踏まないためにも(苦笑)ちょいちょい読んでいくことにしている。

まずは「バーンスタイン その家族と音楽」。

レニーの伝記的な本というより、むしろ両親や叔父叔母、さらにその先祖、妹シャーリーや筆者である弟バートン自身など、まさに原題の“FAMILY MATTER”どおり、バーンスタイン一族、を描いた本といった方が適切。

それゆえ、音楽的なエピソードには乏しいしまた翻訳も若干古めかしい(例えば“オン・ザ・タウン”を“町にて”と訳すとか)ので、正直面白い本だとは言えない。

とは言え、アメリカ移民である両親やロシアに残った叔父一家など、いわば20世紀のユダヤ民族が体現した“世界史の一断層”的な読み物として見れば、勉強になることが多い。

特に、大戦中のユダヤ人迫害で亡くなった親族の名前を淡々と書き連ねているくだりには、静かな迫力が伝わってきた。

通勤ミュージック~1003122010/03/12 17:05:54

コンヴィチュニー全集、いよいよラスト。
忙しかったせいもあるけど、長かったね。(苦笑

7番。これは掛け値なしにすごい。
全集中で第9と1・2を争う名演。

この曲も4番や5番のように、“呪縛”の名演が多々あるわけだけど、そういったものからいっさい自由。

それでいて、これまでの演奏よりもやや「主情」的なものが多めににじみ出ているのがユニーク。
それがこの曲の力感と完璧にマッチしている。

重みより喜びを感じさせる冒頭の一撃。
音を張った、しかし決して割れない金管。
速めの1楽章は、まさにムジツィーレンに溢れた快演。

2楽章もすっきりと流すタイプで、葬送にはならない。
かといって「不滅のアレグレット」的な大仰さにもならない。
あくまでも純粋器楽としての響き。
しかし、そこにある“うまみ”というか味わい。
同じ透明でも、水と酒が似て非なるように。

3楽章がたまらない。
愉楽にあふれながら、羽目は外さないいつもの彼らしさ。
それが一転、最後のコーダで見せる、“闇”さえ感じさせるたゆたい!
これまでに全く無かった色気に、おもわずドキリとする。
そして目覚めたごとく、最後の5小節の煽り!!
ここは何回聴いてもすごい。

そして終楽章!
速めのテンポでグイグイと進めながら、ぎっしりと詰まった中身にも事欠かない、奇跡の両立。
ティンパニはもう少し強奏してもいいかな、とも思うけど、ホルンの充実がそれを帳消しにする。
ホルンも決して楽々と超絶プレイ、というわけではない。
でもそれゆえのひたむきさが、一丸となって終結へ向かっていくこの楽章の姿勢にフィットしていて、聴いていると自然に耳と心が熱くなっていく。

8番はこれまでのコンヴィチュニーらしさがそのまま表れてる。
焦らず急がず、大海に揺られる心地よさ。

軽妙さや洒脱さからは遠いだろうけど、じんわりじっくり、この曲の楽しさが伝わってくる。
恒例の1楽章リピートも「やっぱこれだよなぁ」という安心をくれる。

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さて全曲を聴いての感想。
とにかく全9曲の出来に過不足がない!
しかも繰り返し聴きたくなるような新鮮な発見にも事欠かないのがすごい。

スコアリーディングにおいては、当時では珍しかったリピートなど、真摯な姿勢が評価大(もちろんエロイカのTp.追加とかはあるけど)。

序曲も有名どころは一通り入ってるし、「レオノーレ」が1~3番のすべてあるのも個人的には嬉しい。(笑
あと、これは些細なことかもしれないが、交響曲が番号順にきちんと収まっているのも良い。

21世紀の現代でも、ファーストチョイスの全集として選ぶ価値は十二分にあると思う。
おそらくこれからも、何度も手を伸ばすことになるだろう。

シューマンの全集も楽しみだな。

狩猟日記~1003132010/03/13 18:36:40

・マーラー:交響曲第9番(バーンスタイン/IPO)、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲(カルミレッリ、バルビローリ/BPO)
・ブラームス:交響曲第1番(バーンスタイン/BSO)、バーンスタイン:ディベルティメント(バーンスタイン/ボストン/ポップス)

いずれもLHC(ランヌ・ヒストリカルコレクション)の裏青盤。
LHCはいきなり廃盤になったせいで、収集にちと苦労している。(汗
まあ気長に集めるとしたもんだが。

やっぱりすごいマタチッチ。2010/03/14 15:34:57

*ワーグナー:楽劇「神々のたそがれ」組曲(マタチッチ/チェコpo.)、楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、歌劇「さまよえるオランダ人」序曲、楽劇「トリスタンとイゾルデ」 第1幕への前奏曲(以上、コンヴィチュニー/チェコpo.)

確かこの音盤、最初にリリースされた時はマタチッチの演奏だけだったはず。
CD1枚に30分弱だから贅沢だよな。(もったいない??
その後、コンヴィチュニーの演奏をフィルアップで入れて再リリース。

マタチッチは、N響のライヴ盤(Altus)があまりに圧倒的だったので、正直セッション録音の当盤にはあまり期待していなかった。
あの熱気、大河のような揺らぎ、「うた」……スタジオでは達成できないと思うので。

しかし、いい意味でその不安は裏切られた。
もちろんテンションや熱気はライヴ盤のほうが上。
しかしセッション録音は、香気というか艶やかさで優る。

それはチェコフィルの力かもしれないけど、特に木管のうっとりするような響き。
「ラインの旅」の冒頭で繰り返し奏される愛のテーマ。
cl.の旋回音形が、幸せな空気を醸し出す。
……これが2人(ブリュンヒルデ&ジークフリート)の最後の別れなのだとしても。(だからこそ??

「熱気はライヴ盤が上」とは書いたけど、当音盤だって十分に熱い。
セッションながら、ブラスが落ち気味なのに録り直しをしていないことからもそれが分かる。
さらにぶっちゃけ、オケの基礎体力、というか底力は明らかにN響より上だから、その意味でもじっくりと腰の据わった音楽が聴ける。
ただ残念なのはAltus盤にあった「ジークフリートの死」がないこと。

フィルアップのコンヴィチュニーは、マタチッチと比べると正直物足りない。
「マイスタージンガー」の集結部や「オランダ人」の中間部で見せる見栄切りなどに、「いかにも」なコクを感じさせる一面もあるのだけど、全体的に生真面目すぎな印象が強い。
やっぱワーグナーは“清濁併せ呑む”豪快さが欲しい、と思う。

これぞ爛熟。2010/03/16 15:18:09

*モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」、マーラー:交響曲第4番(ワルター/VPO、ギューデン)

1955年11月6日、ウィーン・ムジークフェラインザールでのライヴ録音。
DGから出てた、VPO設立150周年記念のうちの1枚。

ワルターのモーツァルトは、晩年のものより壮年期のNYPとのものがスキ。
「寄らば切るぞ」的なシャープさというか雄々しさというか。
特に「ハフナー」や「ジュピター」なんかにそれが顕著。

さて当盤。
スタイルとしては上記同様にクッキリ爽快な「プラハ」なのだけど、さすがにオケがVPO。
ワルターの覇気を艶めく音色でコーティング。
1楽章のコーダや終楽章の快速も、尖った感じは皆無。
煌めく踊りのように、香気をふりまいて走る。

マーラーも同様。
もともと「小型」の4番だけど、例えばその「小ささ」をそのまま素直に(=ある意味“古典的”に)表出するのと、例えば2楽章に見られるようなグロテスクさをチラ見させる解釈とでは、当然方向性が異なってくる。

ワルターは基本的に前者だと思うけど(1番なんかでもそうだし)、この曲でもまたVPOの“色”がその大きな助けとなっている。

1楽章で見せる自在なテンポ感。
全く無理のない、その自然さ。
2楽章の死神のヴァイオリンも、何とも蠱惑的。
そうなると、何より白眉は3楽章。
つまらない演奏だと退屈(or冗長)になるこの楽章が、ほとんど陶酔的なまでに夢幻の時間となる。
終楽章のソプラノはすっきりと見通しよく爽やか。

モノラルなので決してよい録音ではないが、貧弱さはなく、十分当時のVPOの爛熟した音世界を堪能できる。