通勤ミュージック~0901132009/01/13 21:45:28

*ロドリーゴ:アランフェス協奏曲、ある貴紳のための幻想曲 ヴィヴァルディ:ギター協奏曲ニ長調 バッハ:シャコンヌ(イエペス、アルヘンタ/スペイン国立管弦楽団ほか)

年末購入、順調に消化中。(笑

アランフェスは、自分の中ではそんなにたくさん集める類の曲ではないかな、という思いがあって、これがまだ2つ目。
それがド定盤なんだから不思議ですわな。(苦笑

スペインは情熱の国、てのは定番というか手垢のついたフレーズ。でもこの音盤からは、そんなステレオタイプの表情は全く聴かれない。
もちろん暗いわけではなく、からっと抜けるような明るい音や明瞭なリズムにラテンの色を見て取ることは確かに可能。

でも、個人的により強く感じるのは、内省というか内観というか……とにかく自分の音と向き合うようなイエペスのスタイルの一貫性。
それこそ陳腐と言われそうだけど、ある意味日本人好み、という感じがする。

だから有名な2楽章も、感傷の海に溺れるようなことはなく、凛とした空気が支配している。
それは決してこの曲の魅力を減じるものではなくて、むしろ深々とした味わいがあって素晴らしい。
長い間「決定盤」の名を冠しているのも、そういったゆえんじゃないのかな。

そしてその思いは、最後のシャコンヌで一層強くなる。
この曲のアレンジ版って、とかく「見せ場」的になりがちだけど、当然そんな感じは一切なし。
かといって周りを拒絶するような厳しさというわけではなく、ギターの、そしてバッハの世界に静かに向かうイエペスの音が清々しい。
変な例えだと笑われそうだけど、「只管打坐」という言葉が頭に浮かんだ。

ただ誤解してほしくないのは、決して愉悦に欠ける演奏ではないということ。
アランフェスの両端楽章や「ある貴紳~」、そしてとりわけヴィヴァルディではギターという楽器の持つインティメートな温もりがすごく伝わってくる。