通勤ミュージック~0901172009/01/17 17:00:36

*チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」、第2番「小ロシア」、第3番「ポーランド」(オーマンディ/PhO)

大らか、艶やか、ふくよか。
とんがった響きや刺激的な解釈はなく、柔らかな語り口。
初期3曲の魅力を素直に伝えてくれる音盤として、カラヤン盤と並び、スタンダードとしてお勧め。

冬の寒さに身を置いて歌うのではなく、暖かな部屋から吹雪く外を眺めているかのような1番。
その分、2楽章の沈み込むような切なさは減じてるけど、温もりがある。

2番は3曲の中で一番いい。
1楽章冒頭の8分音譜、力任せとは無縁の(でも力感ある)アタックとそれに続くホルンのコク!
終楽章も乱痴気騒ぎになることなく(そのスタイルは、それはそれでありなんだけど。笑)、自然と熱を帯びて盛り上がる。

3番は若干もたつく感が少しあって(特に1楽章)、もう少し覇気があっても……と思わなくもないけど、もともとこの曲がある種持ってる難しさ(全5楽章をどうまとめるか)に起因する面もあるから、一概に解釈のせいとも言えない。
個人的にはカラヤン盤のように、多少強引なくらいのドライヴを見せると、この曲のシンフォニックな面が際だつんだけど、オーマンディのようなソフトアプローチだと、まるで5曲のバレエか組曲のように楽しむこともできて、それはそれで面白い(2・3楽章なんかはそのスタイルがはまってる)。

あと、随所で見られる改変が効果的。
3番終楽章のシンバル、2番終楽章のTp.の旋律なぞりなんかはすぐ気付くけど、もっと巧いのは1番。
1楽章のTimp.の3連譜、そして終楽章コーダ、チューバの低音補強!
後者の立体感は文句なし!(厚化粧に感じる人もいるだろうけど)

もうひとつ特筆すべきは、この音盤をはじめとする「ユージン・オーマンディ&フィラデルフィアの芸術」シリーズの解説書が面白いこと。
楽曲解説はほとんどなく、かつてレコ芸に載った大町陽一郎氏とオーマンディのインタビュー再掲や、市川幹人氏というオーマンディのサイト主催者の解説(楽曲アプローチや録音データ中心)など、読み応えある。
こういうのだったら、日本盤買う意味あるよなー。

「フィラデルフィアの芸術」シリーズは何枚か(チャイコフスキー中心……苦笑)持ってるんだけど、改めてサイトとか見ると、何か全部欲しくなってくるわぁ。(もちろんダブるんだけど。